2011年7月13日

木の国・根の国への旅  その参

翌朝は早く起き、バスで「熊野古道」の入り口に向かった。


強い日差しの中、そしてまた森の中は大変蒸し暑く、熊野本宮大社まで3時間の道のりは結構厳しかった。




現在の熊野本宮は明治になって移築されたもので、古来より熊野信仰の対象になっていた社は別の場所にあった。

熊野川と岩田川、音無川が合流するところに、木々が茂る大きな中州がある。
ここは大斎原(オオユノハラ)呼ばれ、かつて熊野本宮大社はここにあったが、明治に起きた川の大氾濫で社が流され、高台に移動することになった。

上皇法皇をはじめ、中世の庶民までが、競うように熊野詣を行ったが、すべてこの大斎原を目指したのだ。

川の中州に神殿を設けるのは極めて異例だと思うが、この場所が特別に選ばれた”聖地”だったのは間違いないだろう。
明治22年の大洪水で社殿は流されて、現在はこの大鳥居が残るのみである。


鳥居を潜ると、杉の巨木が奥に向かって並んでいて、頭を押さえ付けられるような圧迫感がある。

その奥に1万坪の敷地に、12の社殿が並んでいたとされる平地が広がるが、今はシンと静まった草地があるのみだ。


天上からスポットライトを浴びせたような場所で、選ばれた場所であることを感じさせる。
峠から大鳥居を見下ろす

しばらくは、この何もない中州でボンヤリと時間を過ごし
再びバスに乗り、川湯温泉の古びた旅館に宿をとった。


深夜に、窓の外が明るので目が覚めた。

黒い山に満月が上がり、その光が川に反射していた。


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