2013年3月22日

二度目の試し焼き





 改築後、2度目の試し焼きを行う。

 いつもは炭だけで焼いていたが、どうも温度が上がらないので、4時間ほど薪を入れてみる。

 全部で15時間の焼成だったが、温度はかなり上がったようで、いつもは見られない窯変も起きていた。




焼いたのは“普通”のカップと茶碗。

まあ、結果は良いとも悪いとも言えない。

2013年3月21日

春の順番




             冬の終わりに、盛大に花を咲かせたスイセン達も枯れ、




                 庭先のプラムが、一斉に白い花を付ける。




うぐいすが鳴き始め、桜のつぼみが膨らみ、春は段々とその体裁を整える。






やがて水を張った田んぼが、1枚、2枚と増えていく。


こうして、春は毎年毎年やって来る。


2013年3月16日

古いピアノ


 我が家にある、109年前にアメリカで作られた古いピアノ。(ボールドウィン)

 既に骨董品としての風格を備えているので、古い家にはとても納まりが良い。




 ここに来た時にはもう音が鳴らなくなっていたが、しばらくしてから弦を張り替えてもらい何とか復活した。

 本当はハンマーもすり減っているので交換したいところだが、それもやると中古車が買えるくらいの費用がかかるのであきらめた。




 このピアノの特徴は「良く鳴る」ことだ。

 少しの力でも比較的大きな音がするので、他所で違うピアノを弾かせてもらうと、あまりに音の出方が違うので戸惑う事がある。



 良くも悪くも個性的な楽器である。



 

 

2013年3月12日

紙の神々・・・「いざなぎ流」




「神のそだち、
  どこかゆらくたづぬれば、
   こけのしら山、
     滝のふもとにあるろう」






 高知県の北東部、徳島県との県境に物部村という山村がある。
 険しい山々が幾重にも折り重なるようにそびえ、その山肌にへばりつくように小さな集落が点在している。

 ここに平安時代から続くとされている民間信仰「いざなぎ流」がある。






 私はつい最近NHKのドキュメンタリー番組で初めてその存在を知ることになったのだが、もう半世紀ほど前から注目され、民俗学的な研究がされているらしい。







 焼き畑と林業、狩猟をおもな生業として生きてきた人々の生活と密接に繫がっているこの信仰は「太夫」と呼ばれる神官を中心に一年を通して様々な宗教行事が行われる。








たくさんの特色を持った信仰だが、私が最も興味を引いたのは御幣として切りだされる紙の精霊たちだ。


 神事の都度に、太夫によって作られるそれは、実に200種類以上にもなるらしい。




 つまり自分達の周りに、200を超える神々の存在を感じ取っていることになる。




 木の神、川の神、滝の神、山の神、石の神・・・・・・ 険しい山に閉ざされた生活の中で身近に感じ取れる神々は、ユーモラスで繊細で、そして美しい。


 東北にも同じような御幣の文化はあるが、こちらの方が造形的にはレベルが高いように思う。


 自然の中に無数の神々を感じ取れる感性は、この島国の人々の特色の一つであると思うが、ひらひらと風に舞うこの紙の造形は、他では見る事が出来ない大変興味深いものだ。


                                  「いざなぎ流」 映像


土佐・物部村・神々のかたち
INAX出版