2012年7月22日

馬の神

隣町に農家を改築したレストランがあると知り、昼飯を食いに行った。

田んぼに囲まれたそこは、門構えも立派で豪農の屋敷であったと思わせるが、内部はやや”改築し過ぎ”の感があり少し残念だった。




店を出て、駐車した場所とは反対の方向へ歩いてみた。

車一台がやっと通れる細い道が続いていたが、少し歩くと片側は巨大な岩山である事に気が付いた。








その岩山には、所々に巾50センチ程の穴が掘ってあり奥へ続いていた。人間がやっと入れる程度の細い入口だが、穴はいくつもある。

中は真っ暗で細かい様子は何も分からないが、それぞれが繫がっていて往来できるようになっている。


これは、おそらく防空壕だったのだろう。




館山は軍事基地のあった所なので、こういうものは町の中に、まだまだ沢山残されていると思われる。





そして岩肌には多数の「馬頭観音」も安置されていた。

この場所と馬頭観音との繫がりは何も分からないが、巨大な岩山をくり抜いて置かれた観音像と防空壕の暗い穴が、ここを特別な場所にしている。









近くの民家の入口に、梵字が書かれた木製の燭台が立てられていた。

この時期なので、祖先の霊を迎えるために置かれたものと思われるが、私にとっては初めて見た形だった。

 これが又、その場の雰囲気と相乗効果を発揮して、何とも言えない空間を創り出している。





近くの場所にも、まだまだ知らない世界が沢山あるものだ。












2012年7月12日

仏の色









成田山新勝寺の三重塔は1712年に建立されたものだが、昭和になってから当時の古文書を基にして漆塗り・彩色が再現された。

一般的な古寺に建つ同様なものとは違い、極彩色に彩られたその塔は独特な存在感を示し、異彩を放っている。





寺社仏閣と言えば”枯れた色彩”という固定観念は、おそらく近代以降の誤ったイメージなのだろう。



人類の巨大な想像力は、世界中で宗教という創造物を積み上げてきたが、天上の姿は極彩色こそ相応しい。


そして仏の力は、この色の中に宿っている。