2010年9月5日

「甦る縄文の思想」  梅原 猛 ・ 中上 健次


 もともと小説はあまり読まない方だが、20代の頃、友人に勧められて読んだ「中上 健次」にハマってしまい、彼の作品はほぼ全部読んだと思う。

 彼の作品の舞台となった和歌山県へ、わざわざ出かけたこともあり、若き日の良き思い出につながっている。




 彼の小説の魅力は、描かれている人間のうわべの化粧を全部はぎ取って、生々しい「人間の原型」とも言える、骨太な登場人物のドラマが溢れかえっていることである。

 精神的に去勢されてしまったような、現代の都市生活者とは対極に位置する中上の世界は、すでに若くして亡くなって20年近くなるが、まるで色あせることがない。



 この本は、1985年に梅原 猛と青森のねぶた祭りに参加した際に行われた対談集だが、偶然に図書館で見つけ初めて読むことになった。


 彼が縄文について強い関心を持っていた事は、今回初めて知ることになったのだが、”縄文的思想”というものがあるなら、中上健次は間違いなくその継承者の一人である。


 数十年ぶりに、彼の作品を読み返してみたくなった。

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