東北、北陸と並び長野は縄文の宝庫である。
特に諏訪湖のほとりにある、井戸尻遺跡から発掘された土器群は、最上級のレベルといっても過言ではない。
この遺跡の跡に建てられた資料館には、大量の土器類が展示されているが、数の多さだけではなく出土状態の良いものが多く、縄文土器に秘められた謎に迫る、精巧な作りのものが数多く展示されている。
またこの資料館では出土された土器から、そこに描かれた図像に対する研究がとても進んでいる。
特に古事記、日本書紀の国造り神話につながる古代人の神話世界が、この土器群に表現されている事についての研究成果が、館内に詳しく掲示されており、とても興味深かった。
今回の旅のもう一つの目的は、諏訪大社の祭礼「御柱祭(おんばしらさい)」である。
あまりの人出の多さで良い写真は撮れなかったが、この7年に一度の大祭は、実際に見る価値が大いにあった。
諏訪神社に建てられる柱を、山から切り出し、川を越え、坂を落とす。
その一本の巨木に数百人の人が群がり、神社までの長い道のりに、人力を結集させる。
その群衆が産み出す興奮と高揚感が山中に満ち満ちてくる様は、古代の自然信仰がそのまま現代に現れたかのようである。
それは井戸尻で出会った、土器に描かれた神話世界と重なり、このような形で連綿と継承されていると感じた。
諏訪神社のご神体は「守屋山」という山である。
山の神”ミシャグチ”は、この柱や巨石を伝い下りてくると
信じられている。
またかつては御柱祭と並ぶ重要な祭礼だった「御頭祭」・・・・・・75頭のシカの首や、ウサギの串刺しなどを供える狩猟民族の祭礼・・・・などなど
この国の先住民たちのスピリットを色濃く残す、諏訪への旅は大変興味深いものだった。
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